弁理士試験対策 意匠14の2

  • 2014.11.07 Friday
  • 10:22
今日のテーマは、補正(続き)です。

願書の記載又は願書に添付した図面等についてした補正が要旨変更であると認められた場合には、
審査官は、決定をもってその補正を却下しなければなりません(17条の2第1項)。

特許法においては、平成5年法改正により、制度の国際的調和、迅速な権利付与の実現の観点から、新規事項を追加する不適法な補正がなされたときは、拒絶理由(特49条1号)の対象とし、補正却下の適否を争う補正却下不服審判を廃止しました。
しかし、意匠法においては、補正却下の制度を存続させることになりました。
その理由は、
・意匠法においては、特許法のような広範な補正が認められておらず、誤記の訂正等を行うことが許容されているのみであることから、特許法において問題とされているような広範な補正がなされることによる権利付与の遅延が生じていなかったこと、
・たとえ補正がなされた場合であっても、願書の記載及び図面等が意匠の内容を表すものであることから、願書の記載又は図面等についての補正は、願書の記載又は図面等に本質的変更を加えるものとして、要旨変更に該当する場合がほとんどであり、補正が要旨変更か否かの判断を行うにあたり、解釈が入り込む余地が比較的少なく、客観的な判断が可能であり、審査の遅延に与える影響が少ないことからです。

補正却下の決定に対して、出願人ができることは、
・補正却下決定不服審判の請求(47条1項)
・補正却下後の新出願(17条の3第1項)
・再度の補正
・別出願
が、あります。

この補正却下の決定に対して不服がある場合は、補正却下決定不服審判の請求をすることができますが、
審判を請求することなくその決定が確定し、又は請求をしたが理由なしとされて請求不成立とされた場合の当該審決が確定してしまうと、
その補正はされなかったことになり、審査はその補正がされていない姿の意匠登録出願について行われることになります。

補正却下の決定があったときは、
決定の謄本の送達があった日から3月を経過するまでは査定をしてはならないと規定されています(17条の2第3項)。
その趣旨は、
第一に、却下の決定の謄本の送達後3月を経過するまでに17条の3第1項に規定する新たな意匠登録出願をした場合には、17条の3第2項の規定によりもとの意匠登録出願はなかったことになり、ひいては存在しなくなった意匠登録出願について査定がなされたことになるので、その点が明確になるまで査定を待とうというものです。
第二に、却下の決定に対しては、その決定の謄本の送達後3月以内に審判を請求することができますが、その審判の結果いかんによっては査定の対象となる意匠登録出願の内容が変更される可能性があるため、3月を経過するまで査定を控えた上、審判請求の有無を確認し、審判の請求があった場合は、17条の2第4項の規定により審査を中止しようというものです。

17条の2第4項は、補正の却下の決定に対して審判の請求がされた場合は、その審判の審決が確定するまで意匠登録出願の審査
を中止すべき旨を規定しています。その理由は、
もし、補正が却下された姿の意匠登録出願について審決確定前に審査をしても、審判請求が理由ありとされた場合は補正後の意匠登録出願について審査をしなおさなければならず、
また、補正後の意匠登録出願について審査をしても、審判請求が理由なしとされた場合は補正が却下された姿の意匠登録出願について審査をしなければならないことになるからです。

補正却下決定不服審判の請求も、補正却下後の新出願も、ともに
補正却下の決定の謄本の送達があった日から3月以内にすることができます(47条1項、17条の3第1項)。

もっとも、補正却下決定不服審判の請求をした後に、補正却下後の新出願がされた場合には、
当該補正却下決定不服審判の請求は不適法な審判請求として審決却下されます。
当該補正却下決定不服審判の請求の対象であるもとの意匠登録出願は、補正却下後の新出願がされた時点で、取り下げたものとみなされるからです(17条の3第2項)。

補正却下後の新出願は、別出願と比較して、以下の点で異なります。
・補正却下後の新出願は、手続補正書を提出した時にしたものとみなされますが、別出願にはこうした遡及効はありません(17条の3第1項)。
・他方、補正却下後の新出願では、新規性喪失の例外規定の適用を受けたり、優先権の主張をすることができませんが、別出願ではこれらは可能です。
・補正却下後の新出願をしたときには、もとの意匠登録出願は、取り下げたものとみなされます(17条の3第2項)。
・補正却下後の新出願については、17条の3第1項の規定の適用を受けたい旨を記載した書面をその出願と同時に特許庁長官に提出した場合に限り、適用があります(17条の3第3項)。

補正却下の決定が、拒絶査定不服審判においてなされた場合において、不服があるときには、
補正却下の決定に対する訴えを東京高等裁判所に提起できます(59条1項)。

補正却下の決定に対する訴えの提起は、
補正却下の決定の謄本の送達があった日から30日以内です(59条2項で準用する特178条3項)。

また、拒絶査定不服審判において、補正却下の決定があったときに審決をしてはいけない期間、及び補正却下後の新出願が可能な期間は、出訴期間と同様に、
補正却下の決定の謄本の送達があった日から30日以内です(50条1項で準用する17条の2第3項及び17条の3第1項で読み替え)。

意匠権の設定の登録があった後に、
願書の記載又は願書に添付した図面、写真、ひな形若しくは見本についてした補正がこれらの要旨を変更するものと認められたときは、
その意匠登録出願は、その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなされます(9条の2)。

このような救済措置が設けられている理由は、
意匠法においては、特許法における訂正審判制度に相当する制度が設けられていないため、
不適法な補正であることが登録後に判明した場合に、当該補正を無効理由とすると、権利者には、何らの防御手段がなく、酷であるからです。

上記のように、補正が要旨変更であったという理由のみで意匠登録を無効にされることはありませんが、
出願の時点が繰り下る結果、本来の意匠登録出願の時と手続補正書を提出した時との間に、新規性を喪失する理由や同一の意匠についての第三者の意匠登録出願があった場合などは、その意匠登録は無効審判により無効にされることになります。

以上です。

中川ネット知財事務所
中川義和

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